大光電機ショールームで学ぶ、照明器具の選び方
近年、住宅において照明器具は明るさや色合いを調節できる調光タイプが主流になっています。昼と夜とで雰囲気を変え、自分好みの心地よい空間を作ることができるのが大きな魅力です。
調光タイプは利便性に長けている為、全ての部屋に同じタイプの照明を設置する方も多いのではないでしょうか。しかし、快適な空間を作るためには、用途にあわせた照明の種類を選ぶ必要があるため、調光タイプであれば何でも良いというわけではないようです。
そこで今回は、「キッチンとダイニングの照明」にテーマを絞り、照明器具専門メーカーである「大光電機」の照明デザイナーとして活躍されている古川愛子様にお話を伺いました。
大光電機 照明士の古川 愛子様。
また、インタビュワーには豊富な現場経験を持つ女性キッチンプランナーと女性建築士の方にご参加いただきました。
女性ならでは、主婦目線での実践的な意見や質問が飛び交いました。
色が持つ「温度」とは?
あまり耳慣れない「色温度」という用語ですが、これは太陽光や自然光、照明などの光源が発する色を表す尺度のことで、光源の温度や明るさとはまた異なります。
照明の光には大きく分けると 電球色・温白色・昼白色 の3種類があります。
色味や光の種類により色温度は異なるため、シチュエーションにより最適な色温度も変わってきます。部屋全体の雰囲気の決め手にもなる照明の“温度”を探っていきましょう。
キッチンの照明を選ぶときのポイントは
―調理や洗い物など、作業をする上で、光はとても重要です。手元を照らすのに十分な光が必要になりますが、キッチンの照明はどのようなタイプを選ぶのがよいのでしょうか。
古川様:キッチンで使用される照明は、主にシーリングライト・ペンダントライト・ダウンライトとありますが、いずれも切り替えが可能な調光・調色タイプにすることをおすすめします。
確かにキッチンでの作業に向いているのは昼白色、つまり太陽光と同じ種類の色温度ですが、パキッとした色なのでほかのエリアの光色と差が出てしまう可能性があります。
例えばリビングやダイニングにはリラックスできる温白色、キッチンには作業に適した昼白色を設置した場合、キッチンだけ白々しく照らされてしまうといった状況です。
調理中は昼白色にしていただくか、もしくは、はじめから電球色と昼白色の中間である温白色にしていると違和感はないと思います。
実際に温白色の色合いを見ていただくと、満足されるお客様が多いです。
明るさは確保できているが、リビングやダイニングの色合いによってはキッチンの空間だけ浮いて見える可能性も。
―ショールームに来ると実際の色温度の違いを体感できるので、わかりやすいですね。照明の色のほかにも注意すべき点はあるのでしょうか。
古川様:照明の数や配置です。ワークトップの面材によっては映り込みが発生する為、照明の数や配置を考慮する必要があります。特にステンレスではそういった現状が起こりやすいです。
映り込みや影ができてしまう具体的な例としては、
・ダウンライトが光沢のある面材に寄っていることで映り込みが起きるケース
・キッチンに立った時、前からの光よりも後ろからの光の方が多くなり
自分の影が手元に落ちてしまうケース
・(背面収納がある場合)吊戸棚の影が背面収納のカウンターに深く映ってしまうケース
などがあります。
映り込みや影が多いと、照明の数が多くてもかえって暗く感じるため、作業をする上で非常に不便です。そのため取り付け位置が大変重要になってきます。
ある程度の広さであれば 100w 3台くらいでも充分な明るさを確保することができます。
ワークトップに映る手の影を確認している様子。光色と設置場所によって映り方は変化する。
ショールーム内にある吊戸付き背面収納。左がダウンライトで右が間接照明を付けた場合。
ダイニングの照明を選ぶときのポイントは
—ダイニングの照明はどんな色温度のものを選ぶとよいのでしょうか。
古川様:弊社では演色性を高め、色をより綺麗に見せる「ときめきシリーズ」をお勧めしています。
このシリーズは、太陽光の下での色味の見え方を追求した光源になります。どんな色でもそのもの本来の色味を再現できるようにつくられた商品です。